私がWEBで小説を書き出したきっかけ
元々、本を読むのは好きだったが、書いてみようと思ったのは久しぶりだった。
というか、書いたことがあるのはもう二十年以上前だった。
当時、女子大生だった私は、どこで見かけたのか覚えていないが『女の子が書いたエッチな小説大賞』みたいな小説の募集を見かけたのだった。
大賞の賞金は確か十万だった。
賞金を目当てに、『エロ小説なら適当にかけるでしょwww』といったマインドで一作書き上げた。
テーマはカーセックスだった。
今になったから言えるが、当時の自分の実体験をなぞっただけである。
割と現実感のあるいい短編がかけた、そう思った。
当時はまだ家にワープロすらなかったので、原稿用紙に赤裸々に綴った。
大きな封筒に入れ発送してしまうと、当時遊ぶことだけが人生の全てだった私は、すぐに忘れた。
それから三ヶ月ほど過ぎて、我が家に一通の葉書が届いた。
母が酷く怪訝な顔で私を見つめながら、渡してくれた。
葉書の内容に目を通し、私はすぐにその場を後にした。
葉書には「あなたの作品が『女の子が書いたエッチな小説大賞』の最終選考の十名に選ばれました」と書かれていた。
いや、そんなお知らせいらん!
私はそう思って葉書を自室の奥深くに、隠した。
そしてその後は何の連絡もなく、私の小説は『女の子が書いたエッチな小説大賞』に選ばれることはなかった。
私はただ、恥をかいただけだった。
原稿は厳重に封をして、ゴミに出した。
きっとこの体験があるから私は今、小説を書いているのだと思う。
しかも割と普通に真面目な小説を書いているつもりだ。
だって。
だって、人生で書き残した小説がカーセックスを描いたエロ小説だけだなんて、何だか死後にあの世で遣る瀬無い気持ちになりそうだし。
そんなこんなで、私は小説を書き出したのだった。