ノブの事
千鳥では、ない。
そう言うとみな「ダウンタウンの出身地やーん！」と、言う。
事実なのでそれはまぁ、良い。
しかし、現在において尼崎市とは大阪にアクセスが良い、ただのベッドタウンなのだ。
駅前にはマンションが乱立し、わりかしその価格も悪くない。
かつて蔓延していた、やべぇ空気など今の尼崎には、ない。
私が子供の頃の尼崎は、今思えば他の都市とはまるで空気感が違った。
ほんの40年ほど前だが正直自分より年上の人と幼少期の話をしていても「あれ？私、異世界育ちだっけ？」と思ってしまうほどだ。
違和感を感じるエピソードは、掃いて捨てるほどあるが、その中でもノブの事だけは、今も忘れられない。
ノブは私の一つ年下だった。
漫画で見る戦後の子をビジュアル化したかのように、いつも青っ洟を垂らしており、薄汚れたタンクトップがデフォルト装備の子供だった。
典型的な無課金ユーザーである。
そしてノブは私の子分だった。
頭も悪く、気の利いた事も言わず、割と活発だった私の後をいつも付いて回っていた。
近所で繰り広げられる私の冒険のお供はいつも、ノブだった。
まるでドンキホーテとサンチョのように二人で近くの神社や公園を旅した。
少し周りの事が理解できるようになった頃、私は初めてノブの家を訪れた。
自分の家の目の前だったが、入ったことは、なかった。
昔ながらの文化住宅の一階だった。
確か六人家族のノブの家は、狭い二間だけだった。
それが特別だとは、思わない。
当時そんな家はよくあったから。
だけど幼い私が普通ではないと感じたのは部屋の汚さだった。
足の踏み場もないゴミだらけの家だった。
子供にとっては移動すら覚束ない、ゴミの量だった。
私の住んでいた家はさほど広くは無かったが、普通の一戸建ての家であり、綺麗好きな母がいつも掃除をしていたので、あまりの異様な空間に面食らった記憶が深く刻まれた。
子供ながらに何故か心が傷ついたのを覚えている。
家に帰るとすぐにその話を母にした。
母は困ったように何も言わなかったが祖母が「ノブの家は嫁をさらってきたからなぁ」と、言った。
当時ノブは五歳だったが、母親は22、3だった。
そしてノブには二つ上の姉がいたのだ。
「ノブの母親は田舎から15くらいで連れてこられてるからなぁー、まだ子供みたいなもんやで」と祖母は何でもない事のように、言った。
それはなんだか、いけない事のように思われて、私とノブの距離は、開いた。
それから私は徐々にノブと疎遠になった。汚いノブの側にいる事はよくない事に思えたし、少しすれば小学校に通う事になる私の交友関係も変わった。
小学校に通う頃には、まるで何もなかったかのように、ノブとの交流は、途絶えた。
私が小学校の二年生になる頃、噂でノブの両親の離婚が決まったと聞いた。
私は引っ越していくノブの後ろ姿になんの言葉もかけられずに、彼の背を見送った。
今となっては、それが良かったのかどうかも、わからない。
この話はここで終わってしまう。
私とノブの、ドンキホーテとサンチョの物語は、結末がわからないままなのだ。
今では確かめるすべもない。
それでも私は今も思わずにはいられないのだ。
私のサンチョが今も元気で、幸せに過ごしていてくれればいいなぁ、と。
YouTube見るの見ないの論争
見るよね？
いつのまにかYouTubeってなんか怪しいものっていうのを脱却しましたね。
HIKAKINさんなんて最近、普通にテレビに出てるもんね。
私も何かをしながら、見たり聞いたりしています。
不思議なもので、YouTubeを見るようになってから馴染みが増えた人などもありました。
お笑い芸人のキングコングとかが活躍していた当時、私テレビを全く見ていない時期だったのです。
『はねるのトびら』とか一回も見た事ないのよ。
だから私の記憶の中ではキングコングは一時すごい勢いあったけど、いつのまにかあまりテレビで見なくなったコンビ、という認識しかなかったのです。
だけどYouTubeを色々見るようになってから、いつの間にか梶原さんがYouTuberになっていて、そこから結構面白いなって見るようになりました。
『毎週キングコング』とか見て、西野さんの面白さにも気づきました。
もっと尖った人かと思っていたけど、頭が良くて、奔放な上品さをもってた。
コンテンツに辿り着くのに色々な入り口がある現代っていいなぁと心から思いました。
そう、だから奇特にもこのブログを読んでくれた人は辿り着くといいと思うの、私が書いた小説に。
黄金の還る刻 −勇貓皇国伝−
https://ncode.syosetu.com/n1040fs/
たまにすっと宣伝を差し出していく、スタイル。
現代病
インターネットストーカー。
私が初めてインターネットに触れて、もう、20年以上経った。
初めて触れたネットの世界は不思議で心踊るものだった。
当時できてすぐの2ちゃんねるにも、入り浸った。
『半年ROMれ』の訓告通りに半年後に『あなたの化粧ポーチに入っているものは』スレに初めて書き込んだ。
我ながら、しょーもない。
当時、yahooのトップページはさまざまなカテゴリに分けて、色々なホームページがリンクされていた。
戯れにスピリチュアルの項目を辿って行って、やべぇページにたどり着いた。
そこは前世の記憶を持つ者たちが集う、チャットサイトだった。
まだ年若い無謀な私はそこへ、飛び込んだ。
我ながら蛮勇たることよと、今は思う。
そこでは私の知らぬ見ず知らずの世界の話が平然と行われていた。
私はそこに、邪神に支配された哀れな市井の娘設定で飛び込み、何故か普通に受け入れられた。
おー！あなたがあの時の！
みたいな感じで、なんか普通に会話に入り込めた。
あまりの非現実感になんだか怖くなった私はその日以来、そのサイトに出入りすることを辞めた。なのにたまたまそこに居た主要人物っぽい人のサイトを見つけ、何故かその人を、追い続けた。
そう、ずっと。
その人はそのうちに結婚し、いつのまにか前世がどうとか言わなくなった。
新しいHPで仕事の愚痴を綴り、何度か転職を繰り返した。
内容を見ていると納得できる時もあったし、自業自得だろうと思う日も、あった。
サイトで再就職できないと弱音を吐いている時には、自分の事のように胸が痛くなった。
ようやく仕事が決まった時はまるで自分の事のように心が踊った。
よかったと本当に思えたのだ。
これがソウルメイトというものかもしれない。
そう、思った。
怖い事いうけれど、この間、我々一切！交流ないからね。
向こうは多分、私の事など知らない。
一方的に私がただ、追い続けているだけだからね。
だからインターネット、気をつけてね。
追い続けて20年の記念にようやく彼女のツイッターフォローしました。
（ふふっ、別アカやで）
プロフェッショナルの流儀
痰壺の矜持。
私には三人ほどの部下がいる。
これがもう、揃いもそろってお話し好きだ。
まあ、その内容は主にクライアントに対する愚痴であるのだが。
クライアントに対する不満はもちろん相手に言うわけにはいかない。
なんといっても商売上、お客様なのだ。
だからその不満の捌け口は、自ずと上司である私に向けられるのだ。
そんな状況を知っている別の同僚と仕事で移動が一緒になった。
その際、色々話をした。
『おめーも、大変だな』と笑う同僚に対して、私は持論を述べた。
「我、痰壺なり」と。
私という存在は部下が不平不満を吐き出すための、痰壺なのだとずっと思っていた。
吐けば皆、スッとして、また仕事に向かえるのだ。
ならば、思う存分吐けばいい、そう納得していだが、同僚の前ではつい本音が、出た。
「みんな痰を吐くだけ吐いて、ほったらかしやねん」
皆、気ままに痰を吐いても、痰壺の掃除など誰もしないのだ。
いい加減、痰壺である私、痰だらけや。
私に溜まった痰、どーしたらええねん。
誰が掃除してくれるのん？
ぶすくれた私の発言に同僚は大爆笑していた。
電車の中だというのに『痰壺www痰壺て！』そう言って手を叩いて大喜びしていた。
デカイ声で痰壺ゆーな。
それを見ていたら痰まみれの痰壺である自分も、まあ何かの役にたっているのかと思えて、笑った。
でも、たまには痰壺の掃除してな。
iPhone11を買った
まだ手元には、ないけれど。
私は現在iPhone SEユーザーであります。
まあ、古くて小さいやつですよ。
しかし私にとっては丁度いいサイズ感だったのです。
このサイズ感のファンは割と多いようで、ネットでも『もうこのサイズは発売されないのか』などという声をよく見かけておりました。
日中パソコンの前で長時間過ごしているので、ネットを使うのは完全にパソコンの割合が多いので、わざわざ嵩張るサイズのスマホはいらないと思っていました。
しかしもう3年近く使っている私のiPhoneはもう、限界を迎えていたのです。
笑っちゃうくらい、充電保たない。
お前ずっとコードに繋がれとるやん、とつい同情してしまうほど、バッテリーがやばいのです。
いい加減、このままでは日常生活にも支障をきたす。
諦めに似た感情を抱えて、週末ヨドバシのアップルコーナーでiPhone11を実体験すべく、訪れました。
手に取ってみると、あらやだ、ええやん。
新色のパープルも、自分好み。
これは買おう！一人ヨドバシにて決意を固めました。
しかしヨドバシはSIMフリーのiPhoneを扱っていないため、アップルストアかネットで買おうと、ヨドバシに背を向けました。
グッバイ、ヨドバシ。
そしてパソコンに向かって『もうネットで買っちゃえー！』となったのですが、調べていると何やら来年に私が愛用しているiPhone SEの後継機が発売されるかも？みたいな記事が上がっているのです。
ヤーメーテー！
私の決意を揺らさないでー！
慌てて記事を閉じて、無心になり、先ほど無事にiPhone11を購入し終わりました。
やっべ、情報過多社会、やっべ。
余計なノイズに惑わされず、自分を信じて進むことが現代では必要だと改めて確信しました。
あー。早く来ないかなぁ。
猫、撮りたい、猫。
ミーハーの証明
ラグビーW杯、面白いねい。
ルールとかよくわからん、そんな理由でなんとなく今まで遠ざけていましたが、ちゃんと見てみたらすごく面白い。
変な偏見持たずにさっさと見てればよかったと、後悔しました。
自分の中でラグビーといえばスクールウォーズで止まっていたので、改めて思考の停止というのは恐ろしいものだと実感しました。
泣き虫先生はもう、おらんのや。花園だけがラグビーでは、ないらしいです。
信じ、待ち、許してる場合じゃない。
格闘技みたいにドカーンってぶつかり合うのを、見ていると「どこから反則なの？」となってしまい、テレビの解説に夢中になるのですが、その激しさの後ろでボールを『チョン☆』って置くシステムが好きになってしまいました。ぶつかり合いの合間に、すっ、て。いや、毎度こっそり置くんかい。
9割の無骨の中に現れる、たった1割の静寂が、ゲームを左右するって、ドラマチックで良いよね。
それを起点になにかが起こるのを、ドキドキしながら見守るのが楽しい。
あと、選手の人達は、明らかファンタジーの住人だよね。
あれ？オークとかコボルトとか実在したんだ？レベルの筋肉だよね。
自慢じゃないけどエンカウントしたら、一撃で死ぬ、準備は、ある。
いやぁ、願わくば来世はムッキムキに生まれたい。
顔と首の太さ一緒やなと言われて、並み居る敵をぶっ倒したーい！
人はテクノロジーに照れる
ほんとだよ。
私が勤めている職場では以前から日中ずっとFMをかけている。
数年前までは職場に置きっぱなしになっているミニコンポから流していたのだが、それも壊れてしまった。
仕方なく、余っているMACにradikoのアプリを入れて流していたのだ。
しかし余っているMACは当然のごとく邪険にされているので、皆がいる場所から離れて設置されており、むちゃくちゃ聞きづらかった。
改善のために、次はBluetoothのちっこいスピーカーを購入した。
MACから音声を飛ばして、スピーカー自体を皆のいるあたりに設置するという策だった。
しかしこれも失敗に終わった。
1週間くらいでスピーカー自体が壊れてしまったのだ。
完全に私の失策なのだが、アマゾンのセールで1,500円くらいの中国製を購入したからだった。
安物買いの銭失い。
あまりに型にはまった失敗をしてしまった私は腹を立て、使えないスピーカーをオブジェとしてデスク周りに設置するように後輩に指示した。
後輩は「えーっ！いらないっす！」と言ったが、なぜか今も飾っている。
1年近く経つのに、なんで？
私の言霊が、彼を縛っているのだろうか。
そしてついに私はグーグルホームminiを導入した。
楽天で半額になっている時に、買った。
有名なグーグルさんならそう簡単に壊れないだろう、信頼に足る相手だと期待した。
そしてグーグルホームminiは期待に応えて、毎日元気にFMを流してくれる。
スピーカーのようにMACでradikoを飛ばす必要もなく、wifiさえあれば自分でradikoに接続してくれる。
これで弊社のFM問題に終止符が打たれた。
その時は、そう思った。
しかし、新たな方面から問題が生まれたのだ。
FMをかけるにはグーグルホームminiに向かって「オッケーグーグル。FM802かけて」と声をかけるだけだ。
この簡単な作業を誰もやりたがらないのだ。
余りに不思議だったので職場の人たちに聞いてみると一様に「なんか気恥ずかしい」との返答だった。
うっそー！
「声かけて、起動しなかったりしたら、恥ずかしいじゃないですか」
と言われた時は、二の句が継げなかった。
私、毎日言ってますけど？
不思議なことに、そう言われてしまうと毎朝グーグルーホームminiに対して声をかける時、周囲を意識するようになった。
みんな「あいつ恥ずかしげもなく毎日スピーカーに向かって声かけてらぁ」と思ってるのかなぁ、なんて思うようになった。
だけど私は己を叱咤激励して、毎日FMを聞くためにグーグルホームminiに声をかけ続けるのだ。
崇高な未来のために。
ちなみに今までに何度かグーグルホームminiに声をかけて、無視されたことがある。
確かに、めっちゃ恥ずかしかったわ。
